さっとん調査団

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【世界標準の経営理論】19章 モチベーションの理論

先般の投稿によって世界標準の経営理論について読み進めておるのですが、もくじを見る中でまずは興味を持った第3部ミクロ心理学。今回の投稿では第19章モチベーションの理論につてまとめられればと。(前章:18章リーダーシップの理論

 

長くなった、、、もう少し端折って次回から書こう。

時間がないときは最初のまとめのまとめで。

 

 

 

まとめのまとめ

内発的動機の方がいい。

そもそも仕事には内発的動機を高めるものとそうでないものがあり(職務特性理論)、要素は以下。

  • 多様性(variety)
    必要とされる能力の多様性
  • アイデンティティ(identity)
    最初から最後まで関われること
  • 有用性(significance)
    他社の生活・人生に影響を与える
  • 自律性(autonomy)
    自律的に仕事ができる
  • フィードバック(feedback)
    成果を認識

 

人の動機は「E:期待(やればできる度合い)」「V:誘意性(報酬の魅力度合い)」「I:手段性(成果が報酬につながる度合い)」という認知で決まる。(期待理論)モチベーション=E * sum(V*I)

 

人はより具体的、より困難なゴール(その人の能力の範囲内)を設定するほど、モチベーションを高める。人は、達成した成果について明確なフィードバックがある時、よりモチベーションを高める。モチベーションは人為的に高められる。(ゴール設定理論)

 

自己効力感がある人が高パフォーマンスとなる。(社会認知理論)何が刺激するのか?

  • 過去の成果の認知:よくできた俺次もいける。
  • 代理経験:あいつができるなら俺もできる。
  • 社会的説得:チームが君を指名している!などポジティブな言葉
  • 生理的状態:精神・生理的に安全であることが最低ライン

 

他社視点のモチベーション(PSM)がある方がパフォーマンス・創造性がアップする。(PSM理論)

 

上記の要素を考慮した内発的動機↑xPSM↑ を目指すとパフォーマンスが上がる。

前章を含めると「TFSxSL」によりこれらがもたらされる。

 

TFL:明確にビジョンを掲げて(自身の内発的動機↑)自社・自組織のしごとの魅力をメンバーに伝え、啓蒙し、新しい事をを奨励し、学習や成長を重視する。→他者の内発的動機↑

SL:チームメンバー全員がそれぞれリーダーの様に振る舞い、互いに影響し合う

TFLxSL:自身と他者がビジョンを持って互いに啓蒙・刺激し合うこと。(彼のビジョンはなにか、彼女が面白いと感じることはなにか を考える他者視点が成就する→PSM↑

 

モチベーションの定義とは

モチベーションは人の行動に影響を与え、以下3つの要素を含む。

1.行動の方向性

2.行動の程度(活力、規模)

3.行動の持続性

 

モチベーションにより人は 「特定の行動に向かい、それに対して熱意をもち、それが持続する」 というのがわかりやすい例文になるのではと。

 

モチベーションメカニズム全体像

筆者が作った全体関連図。全体を俯瞰するためにいい図。ここに載せてもいいものか微妙ですが、筆者も幾ばくかは世の中に広まる事を求めてるでしょうからまーよかろうかと。

複雑なチャートですが、ここでは単純に やる気⇒行動 という事ではないということがポイントとのこと。

 

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モチベーションの種類

外発的動機(extrinsic motivation)

報酬・昇進など「外部」からもたらされる影響で高まるモチベーション。

内発的動機(intrinsic motivation)

純粋に「楽しみたい」「やりたい」といった内面から湧き上がるモチベーション。

 

ポイント(内発的動機の方が重要)

外発的動機よりも内発的動機の方が 個人の行動へのコミットメント、持続性を高める というのがコンセンサスとなっている。

つまりは 内発的動機の方が質がいいモチベーションにつながる ということですな。感覚的にもあっていますね。

 

各理論の概要

理論1:ニーズ理論(needs theory)1940年代~

考え方

・人間には根源的な欲求があり、その欲求がモチベーションとなり、行動に影響を与える

 

・マズローの欲求5段階がこの考え方の一つ

生理的欲求⇒安全欲求⇒社会的欲求⇒尊厳欲求⇒自己実現欲求 と、低位の欲求が満たされると上位の欲求を求める様になる。

と有名どころが出てきており感覚的にもあっておるのですが、これは ほぼ科学的には当てはまらない という結論になっている。

(この部分についてはあまりコメントもなく、出展も記載がないです)

 

理論2:職務特性理論(job characteristics theory)1970年代~

考え方

仕事には、従事者の内発的動機を高めるものと、そうでないものがある

 

じゃー何にがポイントか?5つのポイント
  1. 多様性(variety)
    何が多様か?といううと、必要とされる能力が多様 という事の様です。いわゆる簡単・単純なことをずっとやりたくない。
  2. アイデンティティ(identity)
    最初から最後まで関われることがアイデンティティということの様です。
  3. 有用性(significance)
    他社の生活・人生に影響を与える
  4. 自律性(autonomy)
    自律的に仕事ができる
  5. フィードバック(feedback)
    成果を認識できる

 

この基準に沿う様に業務をデザインし直す(ワークデザインする)ことで全体のパフォーマンスが上がる。

 

ここまで聞いてふと思い出すのが、われらがパレオさん「科学的な適職」

 この中でも言われている7つの徳目(自由、達成、焦点、明確、多様、仲間、貢献)ににもいくつか含まれており、なるほど、モチベーション高くできる職があるいみ適職なのかと思う次第であります。

パレオさんも同じような論文をリファーしている事でしょうし。 

あと、中田YouTube大学でまとめがありましたのでこちらもご参考まで。

www.youtube.com

 

 理論3:期待理論(expectancy-valence theory)1960年代〜

特徴

・人は合理的に意思決定をする一方で、その意思決定・行動はその人の認知に規定される

・人の動機は、その人が事前に認知・予測する「期待」「誘意性」「手段性」の3つに影響を受ける

 

期待:Xという行動をすればYという結果・成果・報酬が得られるであろうという見込み(やればできる度合い)

誘意性(valence):報酬に対して個人が持つ主観的価値、または魅力の度合い

手段性(instrument):実際の成果が期待した見返りもたらす手段としてどれくらい役に立つか(正当に評価され見返りに反映されなければ低くなる)。

 

検索すると以下のページが出てくる。ここでは手段性を道具性と表現しているが似た内容がわかりやすく説明されている。(この連載面白そう、、、また今度読もう)

数式(掛け算)で表現されるとわかりやすい。

F = E * sum(V*I)

F:行動への力(モチベーション) E:期待(やればできる度合い) V:誘意性 I:道具性(手段性)

【第8回】やる気は測定できる?~心理学理論に基づくモチベーションの測定~:株式会社日立システムズ

 

以下概念図

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 理論4:ゴール設定理論(goal setting theory)1960年代〜

特徴

・「ゴール・目標の設定」をモチベーションの基礎として加えた

・「人は、自身の目的を実現するために働く意思を持つ」という仮定を置く

・人は、成果に対してフィードバックを受けることで、自分の成果がどの様に評価されているか(報酬)を正確に認知し、満足度を高め、より高いゴールを設定する。

 

以下命題を提示。

 

命題1:人はより具体的で、より困難・チャレンジングなゴールを設定するほど、モチベーションを高める。(その人の能力に見合った範囲内でなければならない)

命題2:人は、達成した成果について明確なフィードバックがある時、よりモチベーションを高める。

 

以下イメージ図。

 

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 ゴール設定理論の貢献

モチベーションは、具体的でチャレンジングな目標設定と恒常的なフィードバックで、人為的に高められる という事を示した事である。

この示唆は面白い。個人の反省として、チャレンジング度合いはその本人の能力の範囲内でやらないと行けない

感想

具体的・チャレンジングな目標設定→パフォーマンス(成果)→パフォーマンスのフィードバック→さらなる目標設定 という好循環となる。

これはイメージともあう感じですが、個人的に過去も振り返り間違いそうなポイントとして以下かなと。

「設定される目標はその人の能力に 見合った範囲内でなければならない。能力をはるかに超える目標は失敗にしかつながらない。満足度は下がる→モチベーションは下がる。」

 

また、新卒で入社し10年以上勤めていた会社では半期毎に目標設定シートなるものを書かされていたことを思い出す。今思うと当時からこういった理論に基づいて定められたのだろうかと思うが、形骸化しあまりうまく回っていなかった感覚がある。

個人的には、うまくいかないポイントの1つは フィードバックがうまくいかない ということかと感じる。昔と比べて業務内容が均一化したものではなく、猛スピードで変わりゆく中でフィードバックを適切にできるのか?と疑問が湧く。上司や部下が個々の部下を常に評価できるというところが破綻している様に感じる。

またそれは 目標の設定次第 とも捉えられるが、じゃーどうやるのか?というところは、マネージャーも部下も双方とも教育を受けておらず、同じ知識レベルで会話できてなかったのでうまく行かなかったんだろうなと。(こういった経営論の勉強を当時していいればまた違うかったろうにと感じるのでやはり重要だなと)

当時も感じていたが、会社内の様々な施策(上記の人事評価制度もしかり)についてはどの様に考えてやろうとしているか、必要に応じて背景を丁寧に伝え理解してもらう必要があると感じる。

 

理論5:社会認知理論(social connitive theory)1960・70年代〜

 特徴

・先のゴール設定理論がベース

・「目標の高さ」が重要な要素であったが、これに影響を与えるのが 自己効力感(self-efficancy)「自分がある状況において、必要な行動をうまく遂行できるか に対する認知」(簡単にいうと自分の能力への自信)。自己効力感が高い→自分はもっとできると考え高い目標を設定する(矢印a)

・自己効力感が高いと実際の行動・努力の自己管理も徹底する(矢印b)

・この様な人は逆境でも努力を持続できる

・結果、優れた成果を上げやすい。それが正のフィードバックとなり自己効力感が増していく

 

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自己効力感の要素

これだけ重要な自己効力感は何から影響を受けるのか。以下4つ。

・過去の自分の行動成果の認知(mastery of experiences):矢印c

・代理経験(vicarious experience):他社の行動・結果を観察することで、自身の自己効力感が変化する。あいつができるなら俺もできるだろう 感覚。似た者を競わせた際の相乗効果。
・社会的説得:君ならできる!というポジティブな言葉

・生理的状態(physiological factors):精神・生理的不安に陥ると、自分ではこの責務は果たせない という心理につながる

 

感想

陳腐に聞こえるかもしれないが、受験勉強である程度の大学に入ったことについては正直自己効力感につながっていると感じる。これはおそらく受験勉強でなくても良かったのかもしれないが、当時取りうる手段だったんだなと。当時日本の同世代で何かしらの指標である程度の成果を出せたとういことが、今異国の地イギリスでの仕事において窮地に立たされたときにも拠り所になるところである。イギリス人の中に入っても上位10%には入れないけど半分以上くらいにはなれるんじゃなかろうかと。

あと、成果からのフィードバックはひしひしと感じる。昨年度20数名いるヨーロッパ人の同僚の中で上位の成績を出せた事は、それ以降の自己効力感に繋がっていると感じ、またチャレンジしようと思える様になっている。また、今、新たな(自分の中では)チャレンジングな仕事にアサインされている中で思い返すことは、 チームが指名している というアサイン時のマネージャーの言葉や、 何かあればサポートはする という言葉は上記のポイントを満たしていると改めて感じる。

受験勉強に限らず、人生のどこかで何かに熱中してある程度の成果を出し、何かしらそれが関連する事をを続けられる事が重要なのかと思う。

 

理論6:プロソーシャル・モチベーション(PSM: prosocial motivation)2000年代〜

特徴

・他者視点のモチベーション。社会貢献といって大きなものだけでなく、「顧客視点」「取引先の視点」「部下の視点」なども含まれる

・PSM、内発的動機が同時に高いと互いが補完しあって高いパフォーマンスにつながる

・PSM、内発的動機の補完効果が個人の創造性(新奇性、有用性)を高める

 

これからの人材輩出企業の条件(まとめ)

・個人の創造性が重要

・「内発的動機xPSM」が重要

・どういった企業がこの「内発的動機xPSM」の高い人材を生み出せるか?

・18,19章を踏まえると「TFSxSLに満ちた企業」と考えられる。

(SL:チームメンバー全員がそれぞれリーダーの様に振る舞い、互いに影響し合う。

TFL:明確にビジョンを掲げて自社・自組織のしごとの魅力をメンバーに伝え、啓蒙し、新しい事をを奨励し、学習や成長を重視する。)

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長くなった、、、

以上ご参考まで。